2007年07月10日

深夜映画メモ

『カリスマ』
黒沢清のホラー映画は、一本みたらもっとみたくなるし、よい日本映画をみたいという人がいれば積極的にすすめたいとも思うが、心から好きかと問われれば、ちょっとためらうところがある。
テレビの「映像」や派手なハリウッド映画が巷にあふれる今の日本で映画をつくるとしたら、どうしたらよいか(あるいは、どうしたら駄目か)を考えることを批評的正しさというなら、それをちゃんと考えてつくられている黒沢清の映画は「正しい」。しかし実際、満足度は腹八分といったところである(そのせいで「もっとみたくなる」わけでもあるのだが)。
この『カリスマ』は現代の「世相」とでもいうものを主題にした露骨な寓話で、しかもよくできた寓話ホラー映画だと思うが、それだけにいっそう、テーマにしろ人物配置にしろカメラにしろ演出にしろ、わかりやすすぎるというか、あまりに整然としすぎている感がある。黒沢清のホラー映画には間違い(マイナス点)がほとんどないので、「やってはいけないこと」を多発するそこらの映画をみているときのようないらいらは感じずにすむ。つまり、気持ちよくみられる。しかしその批評的正しさ(マイナスをゼロにすること)の徹底ぶりに比して、創造的要素(プラス)の積み上げが、決してないわけではないが、割合的に少なく感じられてしまうので、どこか物足りなく、腹八分感にとどまってしまうのである。
最初に書いた「他人にもすすめたいぐらいだが、心から好きかというとためらう」ことの理由をいえば、そういうことである。

『フィッシャー・キング』
同じテリー・ギリアムの『12モンキーズ』なんかもそうだが、ようするに『アンバーの九王子』ですな。あるいは『競売ナンバー49の叫び』。ありふれた現代の事物(都市の乱雑な風景記号とか)を読み替えることで「真世界」へ通じるかも、という。ネオプラトニズムというか。
いまひとつ気に入らないのは俳優に大袈裟な演技をさせたりするところだけども(モンティパイソンの人ですからね)、モチーフとしてはまあ悪くない感じ。



おまけ(TVドラマ)

『必殺仕事人2007』
必殺シリーズは舞台ショーみたいなキレイキレイ映像になってからはちと食傷気味だったが、久々にみるとけっこう面白いですね。やけにジャニーズジャニーズしてたのは、まあいいか。伊賀の女忍者がかっこよかったぜ。

『怪奇大作戦セカンドファイル ゼウスの銃爪』
何だこのはぐれ刑事純情派は。
あいかわらず清水崇のおっさんくさいギャグはすべっているが、そこはまあご愛嬌ってことにしとこう。

この記事へのコメント
黒沢清好きですが、『カリスマ』見てなかったので近々見ます。腹八分って感じ判ります。でもそこも含めて気になる監督ですね。

必殺も怪奇も割と面白く見ました。
並木さんが酷評してないのでちょっと安堵。
Posted by 狒狒 at 2007年07月10日 21:53
黒沢清に関しては、メモとして結論だけ簡単に書いたのですごく素っ気ない感じになっちゃいましたが、ふつうここで書くよりもぐっと評価基準を高くして書いてみました。ここまでやれる人だからもっとやれちゃうんじゃないの、という期待をしてしまうんですね。そういう期待をもたせてくれる監督はすごく少ないんですけども。

怪奇セカンドの一話目は、わざと単純にやってるんだと思いますが、いくら何でもその演技演出ははぐれ刑事か二時間崖ドラマだろうって思っちゃいました。でもココリコ田中が電子レンジ光線をよけながら逃げ回るシーンなどは、ありえないなと思いながら、やるんだったらこれぐらいまでやってくれないと、と楽しみましたよ。いかにも安っぽい外人俳優のシーンは、あれ、昭和特撮映画の風情を狙ったんでしょうねきっと。
Posted by namiki at 2007年07月11日 03:40
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Tracked: 2007-07-29 23:30
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