倉阪鬼一郎さんから新刊『紙の碑に泪を』(講談社ノベルス)をいただきました。
ありがとうございます。
多方面で活躍する才人・西木遵が東京・八王子で
殺害された。そのとき犯人は、遠く離れた渋谷のホ
ールでクラシックのコンサートを聴いていた……!?
一方、上小野田警部はアメリカ南部を舞台とした奇怪
なミステリーを読みながら、とある場所で犯人の到
着を待つ。警部はテッパンのアリバイを崩せるか!?
鬼才・倉阪がまたしても仕掛けた、驚天動地のトリック!
(裏表紙の内容紹介より)

登場人物が読んでいる小説(「ジム・トンプスンのライヴァルたち」なる叢書の一作)が作中作として隔章ごとに紹介されるのは、都筑道夫の『三重露出』を思い出させますね。本文にも都筑道夫の名前が出てくるし「ニンジャ」なんてのも現れるから、作者も当然意図しての趣向でしょう。
その作中作は、小説家であり保安官であり殺人鬼でもある人物が語り手という素晴らしい設定。無茶苦茶なストーリー展開もさることながら、《九本のオレンジの樹のうち三本は腐った([訳注]不詳。南部のわらべ唄のたぐいか)》とか《元に戻せって言われても、森のカラスのテノールだ([訳注]未詳。「できない相談」の意か)》といったわけのわからぬ慣用句が出てきて楽しい(なんだかいつも変なところに反応しているような気がしますが)。
