いつもありがとうございます。
恐怖之場所 死にます。 (竹書房文庫)

百物語風の連作短篇集で、不動産にまつわるホラー短篇が七つ。幕間に「倉阪鬼一郎」が登場して話をつなぐ。
都会のマンションやアパートの話あり、田舎の新居の話あり、いずれも著者の短篇らしい残酷さと諧謔が発揮された作品で、とくに都会の話のほうは、コンビニやチェーン店といった現代都市風景とホラーの結びつきが意識されているようだ。
実話を素材にしたということが「あとがき」にも書かれているが、帯などでやたらと強調されている「恐怖の事故・事件物件は絶対に実在します」というキャッチコピーは、この一文だけを表面的に受け取ればごく当たり前のことで(事故や事件は世の中にいくらでも起きているし、それらの関係物件に「恐怖」を感じる人がいるのも確かな事実だろう)、言葉のうえでは「嘘は言ってませんよ」ということなのか、それとも、どうなんでしょうかね。