2008年07月24日

テレビでやってた映画いくつか

『ストレンジャー』
ピーター・ホール監督、レベッカ・デモーネイ、アントニオ・バンデラス出演。秀作とはいえないが王道のサイコスリラー。題材にふさわしく、一時間半足らずの長さにおさめたのはお手柄。他のサイコスリラーどもはみならえ。

『Focus』
井坂聡監督第一作。全編手持ちカメラによるドキュメンタリー調という点は『ブレアウィッチ・プロジェクト』のようでもあり、「テレビ取材カメラ」というものにたいする当てこすりパロディという面はマイケル・ムーアを思わせなくもなく、井坂聡監督作ではのちの『破線のマリス』と同テーマといってもよいが、この作品が何に一番似ているかというと、それらどれよりも「アダルトビデオ」に似ている。若き浅野忠信への「公園インタビュー」にはじまり、徐々に「裸に」していき、ついにキレてクライマックスの「本番」に突入、てな按配で、構成、撮影、演出から何からいわゆる「素人モノ」擬似ドキュメンタリーAVにそっくり。AVを見たことない人が見ればこういう「リアリティ」の追求を斬新に思うかもしれないし、本当にこれがAV(的な水準で測られるべき作品)だったら力作としてマニアの語り草になる可能性もなきにしもあらずだが、まあ、平たくいうと映画がAVを後追いしてどうするんだと思う(AVはAVで異様な独自進化をみせている映像分野という評価はありうるが)。長さが一時間二十分ぐらいなのはよい。

『欲望』
懐かしの『軽井沢夫人』あたりを思わせるノリ。津川雅彦と筒井康隆がコントみたいな「インテリ」会話で談笑したりする、そんな映画。篠原哲雄監督作を見るといつも思うことなのだが、登場人物全員、無関係な通り魔にでもグチャグチャに惨殺されてしまえばいいのにと思った(それをほんとにやってくれるのがスプラッタ映画の快感なわけです)。三島由紀夫を朗読しながら涙を流すというありえないラストシーン(いや全部がありえないシーンなのだが)は、何かのギャグなのか。ひたすらキモい。

『幻の光』
是枝裕和監督第一作。こういう映画を見ていると、どこにカメラを置いてどう撮っているのかってことばかり気になってしまう。引きの「絵」ばかりなので(人物の顔のアップといったショットはいっさいない)、野外だと移動半径が大きくなって大変だろうなあとか。よっぽど事前に段取りを細かく決めてるんだろうなあとか(へたすりゃ俳優陣と撮影陣が百メートル以上離れてるから)。「絵」としては文字通り絵画的ショットの連続なので、映画的悪意(ストーリー内悪意に非ず)に欠け、少々退屈ではある。いい感じのショットもいくつかあるし、似た題材(配偶者に死なれた主人公が辺鄙な漁村に移り住んで生きる)を神話ゴシック風味で処理した『シッピング・ニュース』に比べると全体に節操があるともいえるが、逆に節操ありすぎるというか、やっぱ漁村には魚臭さがほしくなるわけですよ。

『顔』
阪本順治は日本の娯楽映画の監督としては最高峰ではないかと思う。生活感に満ちたサスペンス映画は特に、ハリウッドをうわべでまねしたってサマになるはずもない日本で娯楽映画を作るとしたらこうするしかあるまい、という好見本だといいたい。この作品『顔』は、後半に若干の迷いみたいなものがみられ、やや時間経過的にだれる感じがなくもないが、情を描くに非情をもってし、深刻を描くにユーモアをもってして、安易な甘口や辛口に流さない引き締めはさすが。藤山直美が酔漢にレイプされたあと、相手に金を渡して立ち去る場面はハードボイルドでかっこいい(実際の台詞にはないが「犯されたんやない、うちが男を買うたったんや」という次第)。

『ジャッカル』
今回は何も考えずに楽しもうと思いつつ、どうしても『ジャッカルの日』と比べてしまうのはもう仕方があるまい。エドワード・フォックス(本来は飄々とした英国紳士が似合う俳優)のジャッカルはやっぱりあの普通っぽさが逆に異様な迫力だったなあ、とか。もっとも、実物のジャッカル(カルロス)はヤクの売人みたいな風貌をしているから、あくまでフィクションとしての迫力って話になりますが。ブルース・ウィリスはブルース・ウィリスでべつに悪くはないのだが、見るからにただ者ではない存在感のせいで「すべてが謎につつまれた殺し屋」との設定では少々無理がある。目立ちすぎるわけです。単純に「ブルース・ウィリスが悪役に扮したアクション映画」として楽しめばいいのではあるが、腕前を見せる場面にキレがなくヘマをやる場面のほうばかり目立ってしまっているため、言うほど「凄腕の殺し屋」にみえないのが難点になっている。とかいってまあ、なんだかんだでやっぱ自分はこういう映画が好きなんだなあとあらためて思った。

『アサルト13』
深夜放映でジョン・カーペンターの『要塞警察』をみたのはもう三十年近く前か(当時話題の『ハロウィン』『ザ・フォッグ』の監督の旧作を発掘紹介、てな形ではなかったかと思う)。無言でサイレンサー付き拳銃を撃ち込んでくる若者たちが不気味で、小品ながら銃撃攻防のみに徹して印象に残る映画だった。あとで考えると『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のゾンビの群れを「(新聞がいうようなイメージでの)現代の無表情な若者たち」にそっくり置き換えたような内容で(一般には『アラモ』へのオマージュといわれる)、このリメイクは警察分署にたてこもって襲撃者の群れに応戦するという基本シチュエーションは同じだが、襲撃者の設定をがらりと変えてあって、ずっとハリウッド的な理に落ちたお話にしてある(細かいことをいうと話が粗っぽくて理に合わない部分もあるが、少なくとも「理解不能の怪物」的不気味さは今回ない)。ただのアクション映画になってしまったと失望するか、これはもう別物のアクション映画なんだ思って楽しむか。自分はどっちかというと後者かな。

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