2008年01月22日

みんなが辛い目をみているのだ

 1月12日付の「こどもの詩」のところに自分が書いた「歯が抜けることも痛いが歯に噛まれる側の動物だって痛い、どんな生物も何かしらみな痛みを有しているのだ」という文章が何かに似ているなあと考えて思い出したら、ロス・マクドナルド『魔のプール』に出てくる一節「賞められるべき人間もいなければ、責めるべき人間もいない〜みんなが辛い目をみているのだ」だった。
 ロス・マクドナルドってこんなふうに自分で(場面の意味を)説明しちゃうところがちょっと安っぽい。せっかくお話を書いたんだからみんなにわかってもらわなきゃ損という貧乏根性のなせるわざなんだと思うが、いちいち作者に説明してもらわなくても読みゃわかりますよ。
 とはいえ、説明してもらわないとわからない人が世の中に多いのも事実で、だから大市場をあてこんだアメリカ映画は何かと最後に主人公が感動的演説ばっかりやっているのだ。最後の演説で全部説明しちゃうんだったら、そこまで二時間だかをかけてやってきたドラマ描写は主題提示に関するかぎり時間の無駄に等しいわけで、これは見る人を馬鹿にしているだけでなく、作者(監督、場合によっては脚本家)にとっても屈辱的なことだと思うのだが、「観客は馬鹿だからくどいほど説明してやらないと理解できないのだ」というそれなりの事実に即したマーケティングに基づく製作システムの中で、仕方なしにやっていることなんだろうなあ(と思いたい)。
posted by namiki | Comment(0) | TrackBack(1) | Trash

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